簡単粗大ゴミ処分解説ガイド

エネルギーについてはLCA(ライフサイクルアナリス)の手法を用い、製品を生産・消費・廃棄するときに使う全量を合算した。 かたや廃棄物の量は、製品の重さそのものとみた。
現状レベル3の環境負荷を100%としたとき、欲望を少しがまんして暮らすレベル2では25%ほど減り、生活必需品だけで暮らすレベル1なら半分にもなることがわかる。 こうした製品は日ごろ使うものの一部だが、よく使う身近な製品だから、製品全体の傾向を表すとみても的外れではないだろう。
さて計算上は、欲望を少し抑えれば環境負荷を25%ほど減らせるとわかったけれど、それで持続可能な21世紀をつくれるかというと、残念ながらそうはいかない。 先進国がたとえ環境負荷を30%近く減らしても、発展途上国はこれから資源やエネルギーの消費量を急増させていく。
はたして地球の資源・エネルギーはどこまでもつのか?言い換えると、全世界の人々が持続可能な生活を営むために、資源・エネルギーはどこまで使えるのだろうか?その答えを、「地球の友・オランダ」という環境NGOが「環境容量」の形で試算した。 世界の総人口が70億人になる2010年に、採掘可能なエネルギーや資源を全員が平等に使い、金属資源などは100%近くリサイクルをする。
地球の友・日本「ともに生きる地球」日本消費者連盟(1994)も前提の計算である。 先進国も途上国も資源・エネルギーを平等に消費するなら、日本人はたいていのものを5割以上も減らさなければいけないとわかる。

いまさら資源・エネルギーを半分に減らすのは無理だと思う人もいよう。 だがその生活レベル(先はどのレベル1)は、日本でもわずか30年前の姿なのだ。
30年前と比べて何がそんなに変わったのかといえば、エネルギーでは自動車とエアコン、資源では使い捨て商品の氾濫である。 どこへ行くにも車、どこも快適な温度、そして便利な使い捨て商品。
このライフスタイルこそが、エネルギー・資源の浪費を加速し、環境悪化をもたらした。 欲望の行き着いた先が「ごみの増加」にほかならない。
持続可能社会を目指すキーワードとして「環境容量」を考えるとき、いまの先進国と発展途上国では、ものの消費にからむライフスタイルに驚くほどの差がある。 その点で興味深い『地球家族』という写真集が10年前に出たら。
各国の平均的な家族を選び、家の前に家財道具をそっくり並べ、家族と一緒に撮ったもので、国民の「持ち物度」を伝えるユニークな本だ。 とり上げた項目は家電製品が中心だが、先進国と発展途上国の差は歴然で、平均所得ともよく連動している。
おもしろいのは「その他」の項目。 詳しくは紹介しないが、先進国の人々がWANTS(必需品でないもの)をいかにたくさん買い集めているかがわかる。
とりわけ日本人は、欧米の方々に「ウサギ小屋」と酷評される狭い家にぎっしりと物をつめこみ、「豊かになった」と思っている。 ものをたくさん持つことが、ほんとうに豊かさなのかどうかはよく考えてみる必要がある。
家財道具は、いずれ「ごみ」になる「潜在的な廃棄物」だといってよい。 製品は購入時から廃棄物への道を歩むわけだが、その進行度合いは所有者の価値判断で決まる。
そして各家庭には、二度と使わない「実質的な廃棄物」もずいぶんあるだろう。 そのことを如実に物語るのが「引っ越しごみ」だ。

引っ越しのときは、新居に持っていく価値があるものか、ごみに出してしまうものかの選択を迫られる。 そして、一気にどっと出る引っ越しごみの中身を調べれば、「廃棄物化した製品群」の実態がわかる。
2000年の秋、京都市のごみ処理場に着いた引っ越しごみ車両からすべての積載物をおろして調査した。 わずか6件の引っ越しごみだが、のべ2700点に及ぶ家財道具の調査は過去に例がないと思う。
引っ越しごみとして印象的だったのはベビー用品とおもちゃ類。 いまのおもちゃにはゲーム機なども多く、電池が入ったまま捨てられていた。
また、陳腐化スピードの速いワープロやラジカセ、スポーツ用品、年賀状プリント機などもどんどん「ごみ化」する製品だ。 意外と多かったのが書籍で、全集なども惜しげもなく捨てられていた。
冷凍庫内を整理した生ごみ、土を入れたままのプランター、下着がぎっしり入った衣装ケースなどは、引っ越しぎりぎりまでの暮らしを伝える。 「家庭系有害廃棄物」も、引っ越しごみの約一割近くを占めていた。
人は引っ越しのとき、処分せずに置いていたものを一気に処分するのだ。 引っ越しごみは全国でどのくらい発生しているだろう?そもそも「引っ越し」の実態すら把握しにくいのだが、住民基本台帳によると、市区町村の境界を超えて住所を移した人の数は2000年に615万人。
総人口あたりの移動率で4.89%にのぼるから、日本人は平均20年に一度引っ越しをするとわかる。 個人の移動率と世帯の移動率を同じとみれば、230万世帯(4600万世帯の4.89%)が1年間に引っ越しをしている。
230万世帯に、今回の調査でわかった引っ越しごみの量(1件あたり432s)をかけると99万トンになる。 つまり日本では、引っ越しごみが年にほぼ100万トン出ているだろう。

こうみると日本人は、家財道具をたくさん買い込み、まだ十分に使えるものを引っ越しのとき惜しげもなく捨てていることがわかる。 かたや中国やインドなど、いまはまだ所得の少ない人々が、経済発展とともに先進国と同じライフスタイルを始めたら、人口が桁ちがいに大きいだけに、地球の資源・エネルギーはたちまち限界に届くだろう。
だからこそ日本を含めた先進国の人々がWANTSの消費を減らしたシンプルライフを目指すのが重要なのだが、当面、先進国の物欲主義はますますエスカレートしそうだ。 途上国では基本的な社会サービス用の経費が足りず、かたや先進国では、生存に必ずしも必要ないWANTSを膨大に消費している。
むろん、先進国の人々がアイスクリームや香水の消費を控えても、発展途上国への援助が増えたり地域環境が保全されたりするわけでもない。 が、それにしても先進国の人々は、欲望の追求に走りすぎているようだ。
ただし昨今は先進国でも、物欲一色のライフスタイルを脱しようという気運が少しずつ芽生えてきた。 アメリカでは、「労働と消費の悪循環」に疲れと疑問を感じ、ライフスタイルを変えようという「ダウンシフター(減速生活する人)」が現れた。
収入は減っても、ストレスが少なくて自由になる時間を持つほうがいいという価値観のもと、シンプルライフ(簡素な生活)を目指す人たちである。 日本でも、まだ少数ながら、モーレツサラリーマンに見切りをつけ、地方で自給自足生活をする人が出たり、「グリーンコンシューマー運動」がそれなりの評価を得てきたりしている。
なお、「グリーンコンシューマー運動」とは、可能なかぎり必要なものだけを購入するように心がけ、購入時には環境に配慮した製品を優先的に購入する運動で、最近では「グリーンコンシューマーガイド」などの本が出ている。 ともかく物欲主義に決別しないかぎり、私たちの未来はない。
まさに、私たちは本のカバーの絵のように「物除け姫」にならなくてはいけない。

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